わきが手術

皮弁法による保険診療

わきのにおいで日常生活に支障がある方へ。
当院では、診察により腋臭症と判断し、医学的に手術の適応がある場合に、皮弁法による治療を保険診療で行っています。

腋臭症(わきが)とは

Axillary Osmidrosis

わきが・腋臭症のイメージ

腋臭症(わきが)は、わきにあるアポクリン汗腺から出る分泌物が皮膚の常在菌に分解され、独特のにおいを生じる状態です。汗の量が多い「多汗症」と重なることもありますが、腋臭症ではにおいの強さが主なお悩みになります。
思春期以降に目立ちはじめることが多く、家族に同じ体質の方がいる、耳あかが湿っている、衣類のわき部分が黄ばみやすい、といった特徴を伴うことがあります。

1. においの原因はアポクリン腺

アポクリン腺はわき毛のある範囲に多く分布します。手術では、この原因組織を皮膚の裏側から直接確認しながら取り除きます。

2. 制汗剤で抑えきれない方に

市販の制汗剤や外用薬で日常生活を送れる方もいますが、においが強く、衣類や対人場面で困る場合は手術治療を検討します。

3. 多汗症だけとは扱いが異なります

汗の量だけが主なお悩みの場合、腋臭症手術の保険適用とは判断が異なることがあります。診察でにおいの程度と生活への支障を確認します。

保険適用について

Insurance Coverage

腋臭症手術は、医師が診察により腋臭症と判断し、医学的に手術の適応がある場合に健康保険の対象となります。
令和8年度診療報酬点数表では、皮弁法は片側6,870点です。3割負担の場合、手術料部分は片側20,610円です。別途、診察、検査、処方、処置等の費用がかかります。実際の費用は診察時にご案内します。

1. 診察でにおいの程度を確認します

問診でお困りの場面、家族歴、治療歴を伺い、必要に応じてガーゼなどでにおいの程度を確認します。自覚症状だけでなく、客観的な診察が大切です。

2. 美容目的のみの場合は対象外です

保険診療は、生活上の支障がある腋臭症を治療するためのものです。傷跡の大きさなど、美容上の希望が主目的となる場合は保険適用外となることがあります。

3. 術後管理まで含めて判断します

皮弁法は、においの原因となる組織を除去し、症状の軽減を目的とする手術です。術後の圧迫固定と安静が必要です。仕事・学校・家事・運転などの予定も含め、無理なく受けられる時期を相談します。

皮弁法(直視下剪除法)について

Flap Method

皮弁法は、わきのしわに沿って皮膚を切開し、皮膚の裏側にあるアポクリン腺を直接確認しながら、ハサミなどで取り除く手術です。保険診療で行われる腋臭症手術の方法の一つです。
皮膚を薄く剥離して処理するため、術後に血液や浸出液がたまらないよう、圧迫固定を行う必要があります。術後の安静や通院について、診察時にご説明します。

以下に、手術中の画像を含みます。

局所麻酔で行います

1. 局所麻酔で行います

手術するわきに局所麻酔を行い、痛みを抑えた状態で手術します。体調や内服薬、麻酔で気分が悪くなった経験がある方は事前にお知らせください。

わきのしわに沿って切開します

2. わきのしわに沿って切開します

わきのしわに合わせて切開し、皮膚を反転して皮膚の裏側を確認します。手術後は傷跡が残ります。

アポクリン腺を直接除去します

3. アポクリン腺を直接除去します

皮膚の裏側を確認しながら、においの原因となるアポクリン腺を除去します。すべての汗腺を完全に除去する手術ではないため、においが残る場合や再発する場合があります。

圧迫固定のイメージ

4. 圧迫固定を行います

画像は圧迫固定のイメージです。術後は血腫を防ぐため、厚めのガーゼでわきを圧迫固定します。必要に応じてドレーンを使用する場合があります。固定中は腕を大きく上げないことが大切です。

当院では片側ずつ手術します

One Side at a Time

当院では、術後の日常生活への影響を考慮し、原則として片側ずつ手術を行っています。両わきを同時に手術すると、着替え、洗髪、荷物を持つ動作、通勤・通学、家事などが一時的に不便になることがあります。
まず利き腕でない側から手術し、経過を確認したうえで反対側の手術時期を検討します。

1. まず利き腕でない方から

右利きの方は左わき、左利きの方は右わきから始めることが多いです。食事、筆記、スマートフォン操作、仕事の動作をなるべく保ちやすくするためです。

2. 反対側は経過を見て計画

先に手術した側の腫れ、傷の治り、生活への影響を確認してから、反対側の手術時期を相談します。仕事や学校の予定に合わせて無理のない日程を組みます。

3. 術後の不便さを減らします

片側ずつにすることで、着替えや日常動作の負担を抑えやすくなります。固定中は手術した側の腕を大きく動かさず、反対の腕を中心に生活します。

診察から手術後までの流れ

Treatment Flow

1. 初診・診断

においの程度、生活への支障、治療歴、既往歴、内服薬を確認します。保険適用の可否と、手術以外の選択肢についても説明します。

2. 術前検査・日程調整

手術が決まったら、必要な検査を行い、まず利き腕でない側の手術日を決めます。術後に腕を安静にできる期間を確保してください。

3. 日帰り手術

局所麻酔で片側の手術を行います。術後は圧迫固定をして帰宅します。車や自転車の運転、重い荷物を持つ予定は避けてください。

4. 術後処置・抜糸

固定の状態や出血、皮膚の血流を確認します。抜糸は傷の状態を見て行います。反対側の手術は、最初の側が落ち着いてから相談します。

術後の注意点とリスク

Aftercare and Risks

皮弁法は、術後の安静と圧迫固定がとても重要な手術です。手術後しばらくは、腕を肩より上に上げる動作、強く脇を開く動作、重い荷物、激しい運動を避けます。固定がずれたり、腕を動かしすぎたりすると、血腫や皮膚トラブルの原因になります。
仕事や学校を休む必要があるかは職種や生活内容によりますが、デスクワークでも手術当日から数日は無理をしない予定を検討してください。

1. 血腫・浸出液のたまり

術後に血液や浸出液がたまると、皮膚の治りに影響します。圧迫固定を守り、強い痛みや急な腫れがある場合は早めにご連絡ください。

2. 皮膚トラブル・感染

皮膚を薄く処理するため、皮膚の血流低下、びらん、皮膚壊死、創部離開、感染、治りの遅れが起こることがあります。喫煙は血流を悪くするため、術前後は控えてください。

3. 傷跡・ひきつれ・知覚の変化

傷跡の赤み、硬さ、盛り上がり、色素沈着、わきのひきつれ、知覚の変化、脱毛が残ることがあります。経過には個人差があります。

4. においの残り・再発

アポクリン腺を除去しても、においが完全にゼロになることを保証する手術ではありません。においの残り、左右差、再発の可能性があります。

わきのにおいで生活に支障がある方は、保険診療の適応も含めてご相談ください。
日本専門医機構認定 形成外科専門医が、手術方法と術後の過ごし方をご説明します。